自分を犠牲にしない生き方

「より少なく、しかしより良く」

上司は部下に成長させてもらう

 僕にも部下ができて、日々学ぶことが多い。今では当たり前にできていることも、新しく入ってきた部下にとってはまったく新しい未知の体験なのだ。

 「あれやっといて」と自分では普通にやっていることを指示したつもりでも、部下にとってはなにをどうすればいいのかわからない。 あっているのか、いつまでにやればいいのか、細かいやり方や決まりがあるのか、とにかくわからないのだ。

 僕はどうしてもやってはいけないことを伝える以外は、部下がやりやすいようにやらせるようにしている。やり終わったらそのままにせず、必ず僕が自分でチェックする。

 「終わりました」と言っても、意外とまだ手をつけていないことがあったり、順番がめちゃくちゃになっていることが多いからだ。改めて指示をするときは、できている部分ともう少し改善が必要な部分を分けて説明している。

 改善が必要な部分については、僕自身がやってみせて、次からは部下にやってもらう。僕もそうやって教わったことで忘れないようになったからそうしている。

 しかし、人によっては自分でやった方が身につく場合もあるので、部下の性格なども考えて指示を出さなければならない。

 はっきり言って、自分でやった方が早いし間違いもなくなると感じることの方が多い。部下に指導しているうちに、たまった仕事を残業して片づけることも多い。

 でも、長い目で見たときに、自分にとって生産性の高い仕事に集中したいと思ったら、それ以外の仕事を誰かに指示する必要がある。

 部下がしっかりと仕事を進められるかは、僕がきちんとできているかにかかっているのだ。決して仕事を頑張っている部下のせいではない。お互いに成長する機会でもあるから、僕は手を抜かずに真剣に取り組むべきだと考えている。

 もちろん、部下はそこまで考えていないかもしれない。自分のことに目が向くばかりで、周りへの不満やストレスが出てくることもある。

 でも、そこで僕が感情的になって投げ出したら、会社や部下だけでなく、信頼して任せてくれるお客様にも迷惑がかかってしまう。

 内部の不具合は、口に出さなくてもお客様にはしっかりと伝わっている。本来はお客様にとってまったく関係ないことなのに、無駄な気を遣わせてしまうことになるのだ。 相手の立場で物事を考える習慣がつけば、仕事への取り組み方も変わってくる。