自分を犠牲にしない生き方

「より少なく、しかしより良く」

今あるものに目を向ける

  断言しよう。

 『いま目の前の仕事や上司、そしてお客様に向き合わないと、将来やりたいことは実現できない』

 これは、僕の会社のオーナーに言われた言葉だ。何度も同じミスを繰り返し、成績もまったく上がらずに腐りかけていた頃に言われた言葉だ。その頃はうまくいかない自分が嫌になっていて、転職しようかまったく違う仕事をしようかと悩んでいた。

 そんな僕を近くで見ていたオーナーが僕に伝えたかったことが、もっと今あるものに目を向けてみろ、というメッセージだった。

 今の僕が環境を変えたところで、人間関係やコミュニケーションの問題はなくならない。むしろ、自分自身の課題から逃げ出す口実を作りたかっただけだったのだ。

 自分で会社を興し、身一つで世間を渡ってきたオーナーからすれば、とんでもなく甘い考えだったと気づかされた。ただ悩んでいるだけではなにも解決しない。問題は今どうするかなのだ。

 世の中の会社がいつまでも同じように続く保証なんてない。だからこそ、今できることをしっかりとやる。その先にある自分が実現したい目標を達成するために、一日一日を過ごすことしかないのだ。

 今自分が持っているものを十分に出しきれていたら、状況は今より悪くなることなんてないだろう。

 むしろ、足りないものが多すぎて片っ端から学んでアウトプットしても、生きているうちに全部をやりきることができないくらいだ。

 それにどうせやるなら、目の前のことを楽しんでやった方がいい。苦しんでつらいまま仕事をするのは、誰も得しない。むしろ、余計な面倒ばかりをかけることになってしまうのだ。

 楽しんでやっていれば、そういう雰囲気は周りにも伝わる。うまくいかなかった人間関係も目の前の課題に取り組みながら、一つずつ解決できることばかりだと気づくはずだ。