自分を犠牲にしない生き方

「より少なく、しかしより良く」

やりたいことは今すぐはじめる

 「今の仕事にやりがいがもてないので、将来は◯◯をやりたいです」と部下や学校の後輩からよく言われた言葉だ。

 僕に対してそう言ってくるということは、上司である僕がやりがいを持って仕事をしているように伝わらなかったんだなと、少し寂しい気持ちになってしまった。

 でも、彼らの言っていることも一理ある。

 もともと、僕自身もこの仕事が天職だと思ってはいないし、大きな目標があるわけでもなかった。手に職をつけてどこでも働けるようにしたいと思って勉強して、実際にその通りになった。けど、そこから先はいったい何を目標にすればいいのか?

 彼らも同じように迷っているのだ。そして、どうすればいいかわからないけど、そのうち自分のやりたいことが見つかって、やりがいのある仕事が見つかると信じている。でも、本当にそうだろうか? そもそもやりがいのある仕事をやりたいと本当に思っているのか?

 昔の自分を思い出してみよう。やりたい!と思ったことがたくさんあったはずだ。絵を書いたり、外で友達と遊んだり。欲しいものがあったら、両親に泣き叫びながら買って!とお願いして手に入れたはずだ。

 どれもやりたいと思ったら、すぐに行動に移していたのだ。ただ待っているだけではなにもできない。だから、自分のやりたいことがあったら、いつまでも待っていないですぐにでもはじめればいい。

 もう少し勉強してできるようになったらとか、経験を積んでからというのは、すべて言い訳にすぎない。身につけたいものがあったら、誰かに弟子入りして教えてもらえるように頼みこめばいい。本を出したいなら、毎日書けばいい。

 じゃあ、なぜやらないのか? 自分がそんなことをやって生活できるわけがないと勝手に思いこんでしまっているからだ。

 僕自身もずっと同じ仕事をしていて感じていたことだ。何度も辞めようと思ったけど、辞めたらどうするかがイメージできなくて、そのまま仕方なく続けていたのだ。そうやって悩んでいても、職場の上司は相談になど乗ってくれない。なぜなら、そんなことを言っている暇があったら、成果の一つ二つを出してほしいからだ。

 上司にとって大切なのは、あくまで会社のルールであり、型どおりのやり方を機械のように反復し、利益を上げ続けることなのだ。それが自分や家族の生活を守り、安定した収入や楽しみのために活かすのだ。

 今のまま報酬をもらってつまらないと思う仕事を何十年も続けていくのか、もっと夢中になれることを見つけてやり始めるかは、あなたが自由に選べる。

 経験があって得意なことだからといって、自分の本当に好きなこととは限らない。日々の仕事の忙しさはわかる。でも、それでも自分のやりたいことを見つけて、それを育てていくと決めるのだ。